


あたりはしんと静まりかえり、トーリーはまた一人ぼっちになってしまいます。
しかし、もう一人、目が見えないので逃げ遅れたのか、雪の上でモグラが一匹、まごまごしていました。
トーリーは、きらきら光る雪のテントの中で、夢でも見ていたのかと思います。
外に出ると、雪の上に青空が広がり、どこかでツグミがアレクサンダーのフルートの調べを真似ていました。
帰り道に、みどりの鹿をつつんでいるらしい雪のかたまりを見ると、すこし形が乱れていて、寝ている人がぬけだしたことをごまかそうとしているベッドみたいでした。
しかし、雪のうすいところから、鹿のうしろ足にあたる茶色の枝のまがった部分がつき出ていて、それはやっぱり、ただの木のようにも見えたのです。
